札樽病院ブログ神経内科ミニ知識2018年7月3日

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2018.07.03 UP
第2回「認知症の分類とその割合」

※HPリニューアルにつき、過去に投稿した記事を再投稿しております。

(1)認知症の分類
【認知症の種類と大まかな割合】(小阪 憲司 先生による)

※ その他の認知症: 前頭側頭型認知症、大脳皮質基底核変性症、進行性核上性麻痺、嗜銀顆粒性認知症、正常圧水頭症、クロイツフェルト-ヤコブ病など

 a)アルツハイマー型認知症(AD)が半数を占めますが、b)脳血管性認知症(VD)c)レビ-小体型認知症(DLB)を合わせると3大認知症と呼ばれます。認知症は、認知機能の低下が第1の症状(「中核症状」と呼びます)ですが、合併する諸症状(「周辺症状」と呼びます)が本人や介護者のQOLを大きく阻害することが近年周知されるようになってきました。DLBは最もBPSD(行動・心理症状)を起こしやすい認知症であり、患者さんの苦しみが強く、介護者の苦労も多いとされています。
以下に上記の3つの特徴/鑑別点について示します。

DLBの症状の特徴として、以下の5つが挙げられる。
1)幻視を主体とする幻覚
2)パーキンソン症状(手足が震える・四肢が硬くなる・動作が遅くなる・歩行障害)ADでは発現しないため、これらの症状が発現すればDLBを疑う。
3)認知機能の変動が大きい
4)自律神経症状(血圧の変動・排尿障害・消化管運動障害・発汗障害など)
  ADでは発現しない。起立性低血圧による転倒骨折・頭部外傷、食事性低血圧による誤嚥、臥位高血圧による心臓・腎臓への負担や脳出血の危険がある。消化管運動障害としては、便秘のほか、時にイレウスを起こす危険がある。
  発汗障害としては、発汗減少や発汗過多が起こり、うつ熱、体温が外気温に左右されやすいなどがある。
5)レム睡眠行動異常症
  DLBでは病早期からみられるのに対し、ADではまれである。

a) アルツハイマー型認知症

以下使わず。

年齢と出現率

それでは、認知症という状態は65歳以上の高齢者のうち、どれくらいの人におこってくるか、という事です。この統計を平均すると、だいたい65歳以上の高齢者の7,8%、ごく軽い人を入れると10%くらいで、1割に満たない人が認知症になります。ですから、90%の人は認知症になりませんので、それほど恐れることはないんです。
しかしながら、グラフのように、年を取ると、認知症になる人がだんだん増えてまいります。85歳以上になると、4人に1人が認知症になると言われていますから、これは大変なことです。しかも、最近の日本では、75歳以上の後期高齢者が増えてきています。後期高齢者が増えますと、当然認知症の率も増えるということです。非常にポピュラーな病気であるということになります。
したがって、早期発見・早期治療、また、予防といったことが、たいへん大切になってくる訳です。
グラフは、「老人保健福祉計画策定に当たっての認知症老人の把握方法等について」(平成4年2月老計第29号、老健14号)による。

次回、第3回は「神経内科とは」です。