※HPリニューアルにつき、過去に投稿した記事を再投稿しております。
大脳外観(大脳を左側面から見た像)
上
前 後
下
脳はその部位ごとに役割の分担があります。脳は、外見的に、左右対称的な専門的に言うと次の図のようになっています。これは、場所ごとに役割があることを示すためのものですので覚える必要はありません。
特に、われわれに身近な機能である感覚機能や運動機能では、脳のどの部位が体のどこに対応するかが良くわかっています。感覚機能でいえば、上図の横線赤の「一次体性感覚野」で右脳を縦切りにした断面を示すと、
上
前 後
下
のようになり、運動機能でいえば、先の脳の外観の図で、黒・印の「一次運動野」で左脳を縦切りにした断面を示すと、
上
前 後
下
のようになります。
感覚系でも、運動系でも顔や指、次いで手など細かな感覚や動きを担当する場所が脳のなかでも大きな部分を占めているのがわかります。そこで、上の二つの図のように人間の体の担当する部位を脳の上に記すと、あたかも人体のように並ぶため、この人間の図をホムンクルス(英語で「こびと」のこと)と呼びます。この、感覚機能、運動機能で脳が占める体積の割合で実際の人体を作ったモデルがイギリスロンドンの大英自然史博物館にありますのでそれを示します。
感覚野のこびと
運動野のこびと
両こびとはほぼ同じで、区別の必要がありませんが、顔と指が大きいのが印象的です。
ここで示したのは、感覚機能や運動機能という比較的単純な機能ですが、われわれの五感、更に、思考、感情など様々な場面で実際の症状と脳の中の場所との対応があります。これを担当するのが神経内科です。
次回、第5回は「中枢神経と末梢神経」です。
8月17日(金)、当院にて回復期リハビリ病棟主催の「家族介護教室」を開催いたしました。今回は、第1部が薬剤師による「再発を防ぐ薬のお話~脳卒中と骨粗しょう症」というテーマで、それぞれの疾患に処方される薬の役割や特徴、副作用、飲み忘れたときはどうすればよいか、飲み忘れないための工夫などをご紹介いたしました。
第2部は、理学療法士による「在宅介護をもっと楽に!上手な介助方法講座」でした。専門職の観点から、車イスの操作、着替えや階段昇降などには、手順とコツがあり介助する側もされる側も体を痛めない方法を実演をまじえてご紹介いたしました。
次回は9月14日 金曜日を予定しています。乞うご期待!
8月4日(土)、平成30年度、第4回銭函リハビリテーション学校を開催しました。今回の内容は、【からだのメンテナンス】ということで、当院リハビリテーションスタッフが講師をさせて頂きました。
講義は、実技を含めた【肩・腰・足】の3部構成で、少し動かすと柔軟性やバランスが変化するということを実際に体感して頂きました。皆さん体の反応がとても良く、「毎日少しずつやってみる」と前向きな声もたくさん聞かれました。継続が大事です。ぜひ取り組んでみてください!
9月のイベントは【ヨガ】を企画しています。たくさんのご参加をお待ちしています。
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【「神経」とは】「神経」の組織の中心は「神経細胞」です。神経細胞は本体に相当する「細胞体」が0.1mm、そこから延びる電線に相当する「神経線維」が1ミリメートル以下~1メートルという大きさです。こういう形をした「神経」やそのネットワークの異常を担当する分野が「神経内科」です。具体的には、認知、運動、感覚、平行機能、自律神経機能などの異常および筋肉の異常を対象とします。
模式的に表現すると、【「神経内科」が担当する3本柱の分野】は、
① 中枢神経(脳・脊髄):コンピュータに相当
② 末梢神経(自律神経を含む):コンピュータから各組織へ連絡する電線に相当
③ 筋肉:コンピュータからの指令により動く末端の組織に相当
ここで、注意しておきたいのは私たちが日常生活の中で、「神経が疲れる」、「神経が休まらない」、「神経をすり減らす」、「神経を使う」などという時の「神経」は、本来の「神経」ではなく、「精神」や「気持」のことを意味し、精神的問題、心理的問題であることをあいまいにするための使われ方をしています。このあいまいさは、「神経」、「精神」、「心理」を扱う近縁の各診療科の区別があいまいになるという現象の原因にもなっています。神経内科は次にあげる近縁他科と症状、およびその捉え方、診察方法、検査方法が異なり、また一部共通する部分をもちますが、その違いを挙げると次のようになります。
① 神経内科(別名、脳神経内科):脳・神経系の疾患を内科的に診察/治療する
② 脳神経外科(別名、脳外科、神経外科):脳・神経系の疾患を外科的に診察/治療する
③ 精神科:精神症状(思考・感情・心の症状)例えば、妄想、幻覚、幻聴、不安、抑うつ、イライラ、不眠、精神症状の身体化を担当
④ 心療内科:心身症(精神的原因による体の器質的症状)を担当
それでは、実際には、どのような症状があれば神経内科受診を考えるのでしょうか。
【神経内科受診を考える症状】
1.意識障害(目を覚まさない、ボーっとしている)
2.認知症・物忘れ
3.行動、行為、言語の異常(精神科疾患との区別が必要)
4.頭痛
5.めまい(回転性と非回転性)
6.聴力低下/耳鳴り(耳鼻科との協力が必要)
7.けいれん (緊急対応が必要な場合もある)
8.視覚の異常 (眼科との協力が必要)
9.力が入りにくい、体の動きが鈍い、筋肉がやせた
10.ふるえる、体がひとりでに動く
11.感覚が鈍い、しびれる
12.歩きにくい 、バランスがとれない
13.排尿障害(泌尿器科と協力が必要)
14.嘔気・嘔吐にも注意(神経救急疾患の可能性あり)
これらをもっと簡単に言うと
1.意識・言葉がおかしい
2.体が不自由(目・口・手・足)
筋肉がやせた、しびれる
3.(各種の)発作を起こすと表せます。
【神経内科の診察の特徴】
・問診が非常に重要。
・全身を調べることにより、広範囲の把握が可能。
・ハンマーに象徴される神経学的診察が時にCT、MRIなどの高価な画像診断や脳波検査よりも貴重な情報(特に病巣の場所について)をもたらすことがある。
【まとめ】
神経内科は神経に関する診療をするのはもちろんであるが、それだけでなく全身を総合的に診察することにより、それぞれの症状が近縁診療科の中のどの科が担当すべきかを判定し、個々の患者さんの適正な診療に結びつけることもできる。
次回、第4回は「脳の中のこびと」です。