札樽病院ブログblog

2018.12.28 UP
学会発表のお知らせ

2018年12月22日~23日

大阪府で開催された第5回日本小児理学療法学会学術大会に当院の理学療法士・萱原 康人、矢倉 茜、井上 孝仁が参加しポスター発表をいたしました。


テーマ「発達性強調運動障害児の膝伸展筋力測定の再現性」
「異なる歩行速度が成人脳性麻痺者の歩行周期時間の変動性に及ぼす影響」

「近年注目されている発達障害領域の理学療法に関して、当院では臨床での運動療法に加え研究にも力を入れています。今回は、運動のぎこちなさを明らかにするため障害児の筋力を調査し発表いたしました。今後も知識・技術の両面で研鑽してきたいと思います。」

 

2018.12.15 UP
第8回「不随意運動」

※HPリニューアルにつき、過去に投稿した記事を再投稿しております。

自分の意思に関係なくひとりでに体が動いてしまう現象を「不随意運動」と呼びます。
自分の意志で行う随意運動」と対比されます。
原則として緊張や感情の高まりで増強し、睡眠中には止まります。
運動をコントロールする神経経路の本幹を「錐体路」と呼びますが、それを補完する神経経路の代表として「錐体外路」があります。
不随意運動はこの錐体外路の異常で起こるのが原則です。
脳の病気である、脳梗塞脳出血の後遺症パーキンソン病などの神経変性疾患脳性麻痺などの症状としてみられます。
薬の副作用で現れることもあります。
不随意運動は運動の起こる部位速さ規則性の有無などによって次のようなものに分類されます。
前述の錐体外路の中の障害部位の違いでこのように現れ方が異なるのです。

振戦:簡単に言えば震えることですが、いろいろなリズムや規則的性をもって震える現症で、四肢、頚部、体幹など全身のどこにでも起こります。
振戦は不随意運動のなかで最もよく見られ重要ですので次の第9回で詳しくご説明致します。

バリスムス:四肢を振り回すような大きく激しい不随意運動
     脳梗塞脳出血で見られることがあります。

舞踏病背骨上下肢の近位部(付け根に近い部分)に起こる素早い不随意運動ハンチントン舞踏病などでみられます。


アテトーゼ:手足や頭をゆっくりとくねらせるような動きをする不随意運動。
     脳性麻痺代謝異常などでみられます。


ジストニア(ジストニー):筋肉の緊張の異常によって異常な姿勢肢位をとるもの。頸部(けいぶ)の異常姿勢を示す痙性斜頸(けいせいしゃけい)や、字を書く時にだけ手に変に力が入り書きにくくなる書痙(しょけい)もジストニアの1種です。

ミオクローヌス筋肉が瞬間的に急にピクッと収縮する不規則な不随意運動
      健康な人でも入眠時に起こることがあります。亜急性硬化性全脳炎クロイツフェ ルト・ヤコブ病などの神経の病気でも見られます。


(くち)ジスキネジー持続的口をもぐもぐさせたり、舌をペチャペチャさせるような不随意運動。ゆっくりとした規則的な動きです。


心因性不随意運動精神的ストレスが原因で起こる。体や神経の異常でなく、本来の不随意運動ではありません。治療法も大きく異なります。運動の様子が似ている場合には両者の区別が難しいこともあります。

次回、第9回は「振戦」です。

2018.12.04 UP
第7回「バビンスキー徴候」

※HPリニューアルにつき、過去に投稿した記事を再投稿しております。

神経」は大きく、「中枢神経」と「末梢神経」に分かれます。
神経組織は私たちの体、精神をコントロールしますのでよくコンピューターに例えられます。
そこでは「中枢神経」はコンピューター本体、「末梢神経」は情報を伝えるケーブルコード)に相当します。
中枢神経」は大脳小脳脳幹中脳、橋、延髄)から成り、「末梢神経」は、中枢神経からの情報を末梢に伝える「運動神経」などの遠心性線維と、末梢の情報を中枢に伝える「感覚神経」などの求心性線維に分かれます。
見た目では、中枢神経は硬めの絹ごし豆腐のような硬さで、脳脊髄液という液体の中に浮いています。
末梢神経は情報を伝えるコードのようなものですのでいろいろな太さの糸のような触感です。
生命維持のために重要な自律神経も中枢神経、末梢神経から成りますが、この末梢神経も運動、感覚の末梢神経と同じく遠心性線維と求心性線維の両方から成ります。

201612032346319b4.jpg

次回、第8回は「不随意運動」です。