札樽病院ブログ神経内科ミニ知識2020年8月7日

Home > 札樽病院ブログ > 神経内科ミニ知識 > 2020年8月7日

2020.08.07 UP
第19回 睡眠

※HPリニューアルにつき、過去に投稿した記事を再投稿しております。

睡眠は、ヒトの生活の数分の1以上を占める重要な現象でこれがないと生命を維持することすらできなくなってしまいます。
それだけに、古くから睡眠に関する多くの研究がなされ、一般的知識として認められているものもの膨大になっています。
従って、睡眠に関する知識は、「ミニ知識」としてご紹介するにはふさわしくないこととなります。
そんな背景のもと、ここでは、睡眠の一面について、1回の読み切りでご紹介します。

まず、ヒトは休まず活動し続けることはできず、間に休息をとることが必要ですが、睡眠は人にとって最大の休息となります。
睡眠中には、体内の多くの臓器器官働きが低下しますが、全てが休息をとっているわけではなく、脳ではむしろ、活発に活動している部位があります。
特に、覚醒寸前の浅い眠りの一時期であるレム睡眠期には、例えば扁桃体、海馬傍回では活発な活動がみられます。

眠っている間には、その深さの程度は変動します。
一般に、深さから第1段階から第4段階までの4段階と、特殊な段階のレム睡眠との5段階で区別しますが、各段階の区別は脳波所見によって行われます。
図に睡眠の深い・浅いの繰り返しの様子を示します。
覚醒がピンク睡眠をブルーで示します。

一晩の睡眠でこの、深い-浅いが何回か繰り返されます。
1回あたりの所要時間は約90分ですが、第1回目のみ2時間とされます。
従って、一晩のうちにこのリズムを例えば2回繰り返すと、総睡眠時間は3.5時間3回繰り返すと5時間というふうになります。
覚醒に近い深さで目覚めるとスッキリ起きられます。
この繰り返すリズムのうち、深い睡眠で脳の疲労が取れ、ホルモンなど体の機能維持のための成分が放出されますが、特に最初の2回のリズムの深睡眠でその放出が強力であるとされます。
数時間の睡眠もこの1.5時間毎の固まりの集合ですので、途中覚醒が1.5時間毎であれば覚醒なしに続けて何時間か眠ることとほぼ同じ睡眠効果と考えてよいとされます。

 

次回、第20回は「神経伝達物質」です。