2020.01.20 UP
第18回 高次脳機能障害
※HPリニューアルにつき、過去に投稿した記事を再投稿しております。
「高次脳機能」とは、人間ならではの高度な脳の働きで、いろいろなことに注意を払ったり、記憶、思考、判断などを行ったりする機能を言いますが、これらの機能を失ってしまうのが「高次脳機能障害」です。
A. 原因
「高次脳機能障害」の原因としていろいろな脳の病気がありますが、最も多いのが脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)、外傷性脳損傷です。次いで、低酸素脳症、脳炎、脳腫瘍などがあります。
B. 症状
脳の働きは、部位ごとに異なるため、「高次脳機能障害」の症状は損傷を受けた部位によって様々です。
多い症状としては、
1) 記憶障害(覚えられない)
2) 注意障害(ボーっとしている)
3) 遂行機能障害(効率的に物事ができない)
4) 社会的行動障害(怒りっぽい、自分勝手などで周囲と協調できない) です。
脳の損傷部位によっては、失語症や左半側空間無視(左側を食べ残す、左側の物にぶつかるなど)が加わることもあります。
「高次脳機能障害」は、一見悪いところがなさそうに見えるため病気と気づかれないことがしばしばで、若年性認知症、異常人格者、怠け者などとみなされて治療の機会を失ってしまうこともよくあります。
C. 治療
治療は症状に合わせたリハビリテーションが中心ですが、その内容は障害された脳の機能と、その人の生活の目標によって異なります。
まずは、日常生活に必要なトイレ・食事・身づくろい・入浴の自立を目指しますが、より複雑な脳の働きが必要な料理・洗濯・買い物などの訓練を行うこともあります。
リハビリテーションと並行して、薬により症状の改善を図ることもあります。
D. 公的扶助
原因が脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など)、外傷性脳損傷、低酸素脳症、脳炎、脳腫瘍などが原因の場合には「高次脳機能障害」と認定され、精神障害手帳申請の対象になって、生活や治療に公的扶助を受けることができます。
一方、原因が脳性麻痺、発達障害、うつ病、統合失調症、アルツハイマー病などであらわれた高次脳機能障害は認定の対象にはなっていません。
次回、第19回は「睡眠」です。