こんにちは!人工透析室の臨床工学技士の柴田です。
私たちは透析患者様のシャントを優しく大切に扱うことを心掛けています。
透析患者様は透析ごとにシャント(=透析を行うのに必要な血液を確保するために動脈と静脈をつなぎ合わせて作った血管のこと)に17G~19Gの太い針(採血などで使用する針は22G~23G(数値が小さい方が太く、数値が大きい方が細い))を刺します。毎週3回、1回に2本の針を刺し「①血管から血液を取る→②人工腎臓装置で血液をきれいにする→③血液を身体に返す」の工程を繰り返し行っています。
「透析患者様にとってシャントは命綱」と言う言葉を耳にしたことがあります。それはもしシャントがダメになってしまったら透析治療に影響を及ぼす可能性が高く、生命の危険に直結する原因になってしまうからだと思います。ですから私たちは「患者様の今あるこのシャントを大切にして長持ちしていただきたい」という想いから、シャントを大事にする=シャントを優しく大切に扱う=【優しい透析治療を実施しよう!】と目標を掲げました。
私たちはこの血管に針を刺す行為のことを=穿刺(せんし)と呼んでいます。患者様にアンケートを実施したところ、透析患者様のストレスの多くの原因は穿刺時の痛みや穿刺ミス(穿刺を失敗してしまうこと)であることがわかりました。穿刺ミスにより行った針先の調整などは痛みの増強に繋がりますし、血管損傷におけるリーク(血管から血液が血管外に漏れてしまうこと)はシャントをダメにしてしまう原因にもなってしまいます。ですから私たちは穿刺時の痛みを和らげること、穿刺ミスをなくすことが患者様のストレスをなくし、優しい透析治療に繋がっていくと考えています。
△直近4年間の穿刺時の痛みと穿刺ミスの割合グラフ
<実際行っていること>
穿刺の痛みに対しては、
- 穿刺ごとにフェイルスケールを使用し毎回穿刺時の痛みを患者様から聞いて評価((0(痛みがない)~10(耐えられないほど痛い))の10段階評価)通常の痛みの基準値を患者ごとに設定し、その基準値以上の場合は「痛みがある」とし改善策をスタッフ個人で考察し、改善に繋げています。
- シャントマップによる情報共有(番号を付けて、痛みのある箇所や穿刺容易・困難箇所の情報共有)
- 適切な局所麻酔テープの選択
- 皮膚冷却装置の使用 を行っています。
穿刺ミスに対しては、
- スタッフの穿刺技術の向上(シャントマップによる血管走行の確認・穿刺部位の特定、超音波エコー検査による血管の内腔の状態確認・深さの確認、穿刺の見学)
- エコー下穿刺
- 3Dプリンターで作成したシャント血管模型の活用 を行い、改善策を検討し穿刺向上の取り組みを行っています。
△超音波エコー検査の報告書例
2019年度から当院では銭函地域で「銭函リハビリテーション学校」を開催しています。残念ながら、現在は新型コロナウィルスによる感染予防対策により開催を見合わせています。今日は、過去に開催した内容を一部ご紹介します。(令和元年6月:講師 薬剤師)
骨がスカスカになって弱くなる病気の「骨粗しょう症」は、皆さんご存知でしょうか?骨粗しょう症になると、骨折しやすくなり、「介護」が必要になる場合もあります。
とっても怖い、「骨粗しょう症」を予防するためにはどうすればよいでしょうか?一般的には、「カルシウム摂取」と同時に、「運動」と「日光浴」が重要と言われています。
なぜかというと、実はカルシウムはとても吸収しにくい栄養素です。カルシウムの吸収を助けるため、「活性型ビタミンD3」が必要になります。日光浴をする事(紫外線をあびる事)により、体内で活性型ビタミンD3を合成する事ができ、カルシウムが吸収されやすくなります。
また、骨を丈夫にするには、ある程度、骨に負担をかける必要があります。関節などを傷めない程度の運動は、適度に骨に負担をかけ、骨を丈夫にすることができます。骨粗しょう症を予防するには、晴れた日に、お外で散歩すると良いかもしれませんね。
今後も定期的に銭函リハビリテーション学校より、皆様の健康にお役に立てる内容を、ここの札樽病院LINE公式アカウントから、定期的に発信します。是非、ご覧ください!!
体の組織(末梢)で生じた刺激が、末梢神経→脊髄→脳幹→視床→大脳皮質の感覚野へと上行性に伝わり、大脳皮質感覚野で痛みとして認知されるということは第14回で取り上げました。
その際、脊髄→脳幹へと上行性(体の下から脳へ伝わること)に痛みが伝わる経路があることを説明し、この経路と逆向きに大脳から脳幹を通って脊髄方向へと下行性に働いて痛みの伝達を抑制する、「下行性疼痛抑制系」と呼ばれる経路があることをご説明していました。
この「下行性疼痛抑制系」が良く働くと痛みを感じにくくなり、逆にこの系の働きが弱いと痛みに極度に過敏となります。
ですから、通常は痛みと感じないような軽微な感覚も強い痛みとして感じるという病的状態が出現するのです。
実は、ストレスはこの「下行性抑制系」の働きを弱めることになるため痛みをより強く感じさせ、逆にストレスの少ない状態では「下行性抑制系」がしっかり働いて、痛みの感じ方が軽減されるものなのです。
ですから昔からよくある「痛いの、痛いの飛んで行け」と唱えることも、痛みから気をそらせてストレスを軽減させることにより「下行性抑制系」の働きを強めることとなって、結局痛みの軽減につながります。
先人たちは経験的に神経この働きの特性を知り、利用していたことになります。
次回、第25回は 脳神経と脊髄神経 です。
こんにちは!理学療法士の安住です。
2月まで、札樽病院訪問リハビリテーションのスタッフとして働いていました。
訪問リハビリでは、入院中のリハビリよりも運動時間や頻度が少ないため、ホームエクササイズを指導させていただくことが多いです。そこで今回は、ホームエクササイズについてお話ししようと思います。
ホームエクササイズというと筋力トレーニングやストレッチをイメージされる方が多いのではないでしょうか。例えば、筋力を向上させるためのトレーニング頻度は1週間に3〜4回、期間は3ヶ月程度必要と言われています(個人差や年齢によって異なります)。また、効果を維持するためには、トレーニングを続けていく必要があります。
効果を実感できるまで続けていくのは大変ですが、コツコツ続けていくことが大事なんですね。
在宅でホームエクササイズを長く続けている達人の方々にお話を聞くと、方法や理由は様々。ご家族と一緒に頑張られている方、トイレに行ったらやる!と生活の一部になるように工夫されている方、『今より体を良くしたいから』『運動した方が体の調子がいいから』などを理由に皆さん前向きに取り組んでおられます!
生活の一部に組み込んだり、体の調子がいいと感じられると長く続けられるのかもしれませんね。
リハビリスタッフがお一人お一人に合わせたプログラムを考え、運動を習慣にできるようにお手伝いします。お気軽にご相談ください!