体の組織(末梢)で生じた刺激が、末梢神経→脊髄→脳幹→視床→大脳皮質の感覚野へと上行性に伝わり、大脳皮質感覚野で痛みとして認知されるということは第14回で取り上げました。
その際、脊髄→脳幹へと上行性(体の下から脳へ伝わること)に痛みが伝わる経路があることを説明し、この経路と逆向きに大脳から脳幹を通って脊髄方向へと下行性に働いて痛みの伝達を抑制する、「下行性疼痛抑制系」と呼ばれる経路があることをご説明していました。
この「下行性疼痛抑制系」が良く働くと痛みを感じにくくなり、逆にこの系の働きが弱いと痛みに極度に過敏となります。
ですから、通常は痛みと感じないような軽微な感覚も強い痛みとして感じるという病的状態が出現するのです。
実は、ストレスはこの「下行性抑制系」の働きを弱めることになるため痛みをより強く感じさせ、逆にストレスの少ない状態では「下行性抑制系」がしっかり働いて、痛みの感じ方が軽減されるものなのです。
ですから昔からよくある「痛いの、痛いの飛んで行け」と唱えることも、痛みから気をそらせてストレスを軽減させることにより「下行性抑制系」の働きを強めることとなって、結局痛みの軽減につながります。
先人たちは経験的に神経この働きの特性を知り、利用していたことになります。
次回、第25回は 脳神経と脊髄神経 です。
こんにちは!理学療法士の安住です。
2月まで、札樽病院訪問リハビリテーションのスタッフとして働いていました。
訪問リハビリでは、入院中のリハビリよりも運動時間や頻度が少ないため、ホームエクササイズを指導させていただくことが多いです。そこで今回は、ホームエクササイズについてお話ししようと思います。
ホームエクササイズというと筋力トレーニングやストレッチをイメージされる方が多いのではないでしょうか。例えば、筋力を向上させるためのトレーニング頻度は1週間に3〜4回、期間は3ヶ月程度必要と言われています(個人差や年齢によって異なります)。また、効果を維持するためには、トレーニングを続けていく必要があります。
効果を実感できるまで続けていくのは大変ですが、コツコツ続けていくことが大事なんですね。
在宅でホームエクササイズを長く続けている達人の方々にお話を聞くと、方法や理由は様々。ご家族と一緒に頑張られている方、トイレに行ったらやる!と生活の一部になるように工夫されている方、『今より体を良くしたいから』『運動した方が体の調子がいいから』などを理由に皆さん前向きに取り組んでおられます!
生活の一部に組み込んだり、体の調子がいいと感じられると長く続けられるのかもしれませんね。
リハビリスタッフがお一人お一人に合わせたプログラムを考え、運動を習慣にできるようにお手伝いします。お気軽にご相談ください!
こんにちは。医事課の岩村です。いつも円滑な受付や会計にご協力ありがとうございます。私たち医事課スタッフは正面玄関入ってすぐの外来窓口で皆さんにお会いしています。外来受付や会計のほか、入院手続きや医療費全般の請求業務、健康保険組合等関係機関への情報提出など医療事務全般を分担しています。
ところで、会計で受け取る診療明細書、冬季になると診療費が10円~20円ほど上がっているな、とお気づきでしょうか?理由は《療法担当手当》です。いわゆる暖房代のことで、寒冷地手当になります。
外来では毎月1回、患者様が来院した場合に算定しております。ですので電話診療・往診・訪問診療では請求していません。入院中の方にも毎日10点ほどかかっていますので、ひと月でいうと300円~900円になりますね。もちろん外泊などで病院に不在の日は算定していません。(今はコロナの影響で外泊はできませんが・・・早くできるようになるといいですね)
実はこの手当、北海道のみに存在するものなんです。雪の多い東北地方などでも医療法では適応されていません。ですから冬に道外の病院にかかることがあっても請求されることはありません。期間は11月1日から4月30日までですので今年度はあと2か月ほど請求させていただくことになります。
早く春になって暖かい日が来るといいですね!
こんにちは!理学療法士の松井彩夏です。
日常生活を送る中で膝の痛みが気になったことはありませんか?もしかしたら年齢を重ねるごとに膝の痛みが強くなっているということもありますね。膝の痛みの原因は様々ありますが、その一つに変形性膝関節症という疾患が関係していることがしばしばあります。膝関節が変性してしまう変形性膝関節症という疾患は高齢になるほど発症しやすく、患者数も多いです。膝が痛くて動けない。動かないと筋肉が落ちていく。それが負の連鎖となり、より膝の痛みを強めてしまいます。
銭函リハビリテーション学校の中でもいろいろな体操、筋トレ方法をご紹介してきましたが、今回は、その中でも膝の痛みについて予防できる体操をご紹介いたします。ぜひ、ご自宅でトライしてみてください!ただし、痛みの出ない無理のない範囲で行ってくださいね。
2019年度から当院では銭函地域で「銭函リハビリテーション学校」を開催しています。地域の医療機関として、地域の皆様の健康維持・増進を目的に、札樽病院の医師や医療スタッフによる講義や座談会などを企画していました。
残念ながら、現在は新型コロナウィルスによる感染予防対策により開催を見合わせています。今日は、過去に開催した内容を一部ご紹介します。
「脱水」と聞くと夏をイメージされませんか?実際に、夏に脱水状態で救急搬送されるニュースが多く聞かます。ですが、「脱水」は冬でも起こるのです。これは「隠れ脱水」といわれ、注意が必要です。チェック項目の1つでも該当すると「隠れ脱水」の可能性がありますので注意してくださいね。(2019年10月開催 講師:管理栄養士)
今後も定期的に銭函リハビリテーション学校より、皆様の健康にお役に立てる内容を、札樽病院LINE公式アカウントから、定期的に発信します。是非、ご覧ください!!
当院には5名の薬剤師がおります。普段は入院患者さんのお薬のご用意と服用時のご説明に関連する業務、今でしたらワクチン情報の収集や手配で忙しい毎日です。
調剤薬局などで薬を受け取る時、薬剤師が使用方法などを説明しますよね。薬の効果を充分に出して快復に向かうには正しい扱い方をしなければならないからです。飲み薬の場合、ポイントは5つ。
- タイミング :食前、食間、食後、頓服など、薬ごとに決められた時間を守りましょう。
- 量 :薬は血液の中の量がちょうど良い範囲でないと効果が現れません。自己判断で飲む量を増やしたり減らしたりしないでくださいね。
- 方法 :飲み薬はコップ1杯の水で飲むのが原則です。
- 期間 :治ってきたからといって自己判断で服用を中止しないでくださいね。医師の指示があった期間は服用を続けましょう。
- 飲み合わせ :いっしょに服用してはいけない薬、食べ合わせが良くない食品があります。いつもお薬手帳を持参して、医師や薬剤師に確認しましょう。
《薬を飲むタイミング》について少し詳しくお伝えしますね。
食前:食前に飲むことで高い効果を発揮する薬は、食事の30分~60分前に服用します。
食後:薬の作用で胃が荒れやすい薬は、胃の中に食べ物が残っている状態で服用します。
食間 :食事から2時間ほど後の空腹時のこと。食事の最中という意味ではありません。
頓服:解熱剤や痛み止めなど、症状が出た時だけに服用します。
正しく服用することが効果につながりますよ。何種類も服用されている方は、お手数でも今一度、それぞれの薬をご確認くださいね。 薬剤部
総務課の若山です。人事を担当しています。
当たり前のことですが、病院は医者や看護師がいなければ成り立ちません。一方総務課は、一般企業にもある部署、病院の総務は”日陰の存在?雑用係?”と、ちょっとひねくれかけて(?)いるところです(笑)実は総務課は、病院全体がスムーズに動き、職員が安心して働けるように、必要な手続きを担う重要な部署なのです!勤怠管理、社会保険の手続き、給与計算などを、ミスなく、速やかに、個人情報を決して漏らすことなく進めます。そして人材採用・・・札樽病院にはパート含め350名余職員がおり、入れ替わりもあります。病院にとってどんな職員が必要なのか、望むような人が応募してくれるのか、いつもドキドキです。
人材派遣会社やハローワークを通して採用面接に至ることが多く、履歴書と面接で”人を判断する難しさ”を実感しています。「自分は人事に向いていないのでは?以前のように”会計担当”でお金と数字を見ていたいな~」(総務課にはローテーションがあります)と思いつつ、人事担当者に向いている人、なる記事を読んでみました。その中に、”人に関心がある、人間観察力がある””秘密を守ることができる”とありました。「う~ん、私、この2点だけは当てはまる」とちょっと安心しました。仕事柄、業者や役所の方、患者さんのご家族、職員と多くのやり取りをするので、お相手の言動から心情や性格等を想い図ることを自然にやっていると気づきました。また、採用した人が職場に慣れて頑張っている姿を見るとホッとして嬉しい気持ちになるのです。もちろん守秘義務、口は固いです!一人ひとりの仕事ぶりや言動が病院の印象に直結しますから、自分自身を磨きつつ、人材を見る目も曇らないようにしたいと思います。 総務部課長 若山真実
こんにちは。理学療法士の萱原康人です。
小児発達外来の理学療法部門は、開設して今年で9年が経ちますが、最近、特に子どもたちの体力が低下していると感じることが多くあります。実際にスポーツ庁の全国体力・運動能力・運動習慣等の調査によると、年々、子供の体力が低下していると指摘してされています。要因としてスクリーンタイム(1日当たりのテレビ、スマホ、ゲーム機等の視聴時間)、肥満率、朝食欠食率の増加などを挙げています。一昨年からコロナ禍による自粛生活もその要因に拍車をかけていると考えられ、社会現象として目を背けることが出来ません。
このような事実をもとに、私たちは、理学療法の視点で“お家遊び”と題して、YouTube動画をアップし、問題解決に寄与できるよう取り組んでいます。YouTubeで「札樽病院 お家遊び」で是非検索してみてください。今後も更新する予定です。
札樽病院公式YouTubeはこちら
“遊ぶ”場所は、お家だけでなく、お外もありますよね。今、北海道は厳しい冬のため、中々お外で遊べないことも多いですが、お外で遊ぶことは様々な利点があります。太陽光へあたることによる効果はよく知られていますが、夏場に比べ、雪上は歩くだけでも足腰に力が必要なため、短時間でも適度な運動になります。
夏場は公園で遊具を使用し、のびのび遊べます。公園にある遊具は理学療法の視点でも、理にかなったものがたくさんあります。運動が苦手な親御さんも遊具に力を借りて、子供の体力向上を促すことができます。例えば、ブランコはバランス感覚や様々な動作の調整力を鍛えることができ、滑り台は平衡感覚や外からの力に対応する能力が強化され、ジャングルジムは全身運動として踏ん張る力や考える力が養われます。
このような視点で遊具を捉えると、子供にとっての公園の重要性が実感できるのではないでしょうか。そんな視点で遊ぶのも面白いかもしれません。ぜひ、参考にしてみてください!
病院で新年を迎える入院患者さんを食事で応援する・・・栄養士&調理員の重要な任務です。大晦日と三が日、特別感が味わえるようなメニューを考えました。お赤飯、おせち盛り合わせ、お雑煮風すまし汁、ステーキ、天ぷら、ブラックカレー、鴨肉のクロワッサンサンド・・・特に好評だったのはダントツでカニ飯です!昨年も人気でした。わっぱ風の器に大きなカニと錦糸卵、彩り鮮やかに仕上げることができました。鮭とイクラの親子ちらしも喜んでいただきました。「イクラが豪勢だね」と。どのメニューもできるだけ見た目を変えずに、カロリー制限や軟らかい食事の方用に工夫しています。お餅は実はお餅風、ノドに張り付かない特殊な素材、かまぼこは咀嚼しやすくばらつかない素材、ご飯は雑炊風に。リハビリ病棟は年末年始もリハビリはいつも通り。しっかり食べて、しっかり動けていたと思います。 管理栄養士 今井真紗美
こんにちは。作業療法士の荒井英俊です。札樽病院の作業療法課は、43名の作業療法士が在籍し、入職1年目から25年目までと幅広い経験年数のスタッフで構成されています。作業療法課では「人は生活行為をすることで健康になる」との信念のもと、どんな人生を歩み、何を大切にし、どんな生活を送りたいのかという「あなたらしさを尊重すること」をモットーに取り組んでいます。病気でやりにくくなった身の回りのこと(トイレや着替えなど)・家事・学習・仕事・趣味・地域活動などの生活行為を再び実現できるよう最善を尽くします。
詳しくは「リハビリテーション部」をご覧ください。
作業療法課では生活行為のしにくさを解決するために3つの視点を取り入れています。さてここで、皆さんは「ペットボトルのお茶が飲みにくい」という不便さがあった時にどのように解決しますか?手指の力を鍛えるといった「あなた自身」を変える視点もあるでしょう。他にも、100均などで販売されているキャップオープナーを使う、家族に頼むといった「環境」を変える視点や、お茶を飲む目的を満たすために急須で入れる、缶のお茶にするといった「方法」を変える視点もあります。
皆さんにも生活のしにくさは大小あるでしょう。そんな時には「あなた自身」「環境」「方法」を変える視点で工夫してみて下さい。生活がしやすくなりますよ。