札樽病院ブログ健康のお話2024年12月17日

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2024.12.17 UP
おせちを安全においしく食べたい!~言語聴覚士の話

こんにちは!言語聴覚士の木村です。年の瀬が近づいてきましたね。おせち料理を12月31日から食べるのは北海道の習慣で、元旦から食べるのが一般的のようです。実は、おせち料理は、食べにくいものが多く、噛む力や飲み込む力が弱い方には、ハードルが高い料理なんですよ。今回は、安全に食べやすい方法をご紹介いたします!

注意が必要な食べ物

昆布など繊維質が多いもの
歯ごたえや弾力のあるものー昆布巻き、タコ、かまぼこ、数の子、こんにゃく、また繊維質の多い根菜の煮物は噛むのが大変で窒息の危険性があります。

酸っぱい料理はむせる原因
なますや酢の物など、酢を使った酸っぱい料理は、むせやすいので注意が必要です。

パサパサしやすいもの
口の中の水分を吸収してしまうような、焼き豚などの加熱した肉類は飲み込みにくく窒息しやすくなります。また、きなこなどの粉状のものは、粉が気管内に付着しやすくむせやすい食材です。

口に貼りつくもの
正月の窒息リスクNo.1は、なんと言ってもお餅です。お団子やのりも貼りつきやすく注意が必要です。下の図は、当院で行った飲み込みの検査で、餅を食べたときの様子です。粘り気があり、噛んでも細かく切れずに、つながった状態で喉の奥に残ってしまいました。ごっくんの力が弱い場合、窒息の危険度が高いと言えます。

安全に食べる方法
  • 弾力のあるものは、薄く切ること、また硬い肉などは、圧力鍋などを使って柔らかく煮ると良いでしょう。
  • 酢の物は、酸味を控えめにしましょう。
  • ぱさつく食材は、片栗粉などで“あん”をつくり、からませて食べやすくできます。
  • 餅は小さく(1㎝角)切って、よく噛んでください。飲み込むまで周りの人が見守ると良いでしょう。しかし、飲み込みにくくなってきたら、お餅はできるだけ避けたい食材です。介護食タイプの歯茎や舌でつぶせる飲み込みやすい餅も販売されているので、活用できるかもしれませんね。※当院でも購入できます。ご希望の方は管理栄養士までご相談ください。
  • きなこ等の粉が舞いやすい食材は、避けるかとろみをつけましょう。
  • おせち料理は、塩分が多いので、1日1回は果物や生野菜を意識して摂取しましょう。
姿勢や食べ方の工夫

食べるときの姿勢を意識したことはありますか?不安定な姿勢だと、食べにくく飲み込みにくいんですよ。食べる環境を整えることも大切なんです。

万が一、窒息してしまったら

窒息のサイン
・咳込んだり苦しそうにしている
・声を出せず喉をつかむ動作をする(チョークサイン)


・顔色が悪い

喉に詰まった時にまず行うこと
・できるだけ強い咳をする
・咳ができない時は窒息と判断し119番通報をする
・呼びかけに反応しない場合は、直ちに心肺蘇生法を行う

自宅でできる詰まった食べ物の除去方法
・背部叩打法・ハイムリッヒ法

背部叩打法で窒息物が排出されない場合に、ハイムリッヒ法を試し、交互に行うことが推奨されています。

注意点
※幼児は内臓を傷つける恐れがあるためしてハイムリッヒ法を行ってはいけません。
※高齢者でも内臓を痛める可能性があるため、ハイムリッヒを実施した場合は救急隊員にその旨を伝えるか、速やかに医師の診察を受けることをお勧めします。
※掃除機の使用は、あくまで最終手段です。窒息した際に掃除機を使用すると、舌を吸い込んだりノズルの先で窒息物を押し込んでしまうことがあります。また、不衛生かつ吸引圧で肺を傷つけてしまう恐れがあります。
最後に

言語聴覚士は飲み込みの評価やリハビリテーションを行っています。食べる楽しみを維持して、ちょっとした工夫で安全に、美味しく食べていきましょう!

昨年、当院の入院患者様に提供した年末年始のお食事をご紹介!今年も特別食を提供する予定です。お楽しみに!