※HPリニューアルにつき、過去に投稿した記事を再投稿しております。
睡眠は、ヒトの生活の数分の1以上を占める重要な現象でこれがないと生命を維持することすらできなくなってしまいます。
それだけに、古くから睡眠に関する多くの研究がなされ、一般的知識として認められているものもの膨大になっています。
従って、睡眠に関する知識は、「ミニ知識」としてご紹介するにはふさわしくないこととなります。
そんな背景のもと、ここでは、睡眠の一面について、1回の読み切りでご紹介します。
まず、ヒトは休まず活動し続けることはできず、間に休息をとることが必要ですが、睡眠は人にとって最大の休息となります。
睡眠中には、体内の多くの臓器・器官の働きが低下しますが、全てが休息をとっているわけではなく、脳ではむしろ、活発に活動している部位があります。
特に、覚醒寸前の浅い眠りの一時期であるレム睡眠期には、例えば扁桃体、海馬傍回では活発な活動がみられます。
眠っている間には、その深さの程度は変動します。
一般に、深さから第1段階から第4段階までの4段階と、特殊な段階のレム睡眠との5段階で区別しますが、各段階の区別は脳波所見によって行われます。
図に睡眠の深い・浅いの繰り返しの様子を示します。
覚醒がピンク、睡眠をブルーで示します。

一晩の睡眠でこの、深い-浅いが何回か繰り返されます。
1回あたりの所要時間は約90分ですが、第1回目のみは2時間とされます。
従って、一晩のうちにこのリズムを例えば2回繰り返すと、総睡眠時間は3.5時間、3回繰り返すと5時間というふうになります。
覚醒に近い深さで目覚めるとスッキリ起きられます。
この繰り返すリズムのうち、深い睡眠で脳の疲労が取れ、ホルモンなど体の機能維持のための成分が放出されますが、特に最初の2回のリズムの深睡眠でその放出が強力であるとされます。
数時間の睡眠もこの1.5時間毎の固まりの集合ですので、途中覚醒が1.5時間毎であれば覚醒なしに続けて何時間か眠ることとほぼ同じ睡眠効果と考えてよいとされます。
次回、第20回は「神経伝達物質」です。
北海道の夏もピークを迎える頃になりました。熱中症や夏バテにお気を付けくださいね!
さて、銭函リハビリテーション学校から、健康コラム「脂質異常症を予防しよう」を掲載いたします。銭リハのページからもご覧いただけいます。
健康診断などでコレステロールや中性脂肪などの数値が気になったことはありませんか?基準値を超えている場合は、脂質異常症(異常に増加した場合を高脂血症)の疑いがあります。医師から指摘を受けても放っておくと、動脈硬化の原因になることがありますので、内科受診をお勧めします。
どうして数値があがるのでしょうか?摂取エネルギー量が消費エネルギーより多い、動物性脂肪を多く含む食品を好んで食べる、運動不足、ストレス過多でイライラしがち、といった生活習慣の場合、上がりやすいようです。指摘を受けなくても数値が気になる方は、食生活の見直し、適度な運動を心がけ予防していきましょう!
総コレステロール:多すぎると、動脈の壁に沈着して動脈硬化を引き起こす可能性が高くなります。特に、心筋梗塞などの虚血性心疾患の発生率は血液中のコレステロールと相関しています。
中性脂肪:増えすぎると肥満、脂肪肝、糖尿病等の原因となり、悪玉コレステロールの増加につながるため、動脈硬化を進め脳卒中や心臓病の素地になります。特に食べ過ぎ、アルコールの摂り過ぎで値が上昇します。
HDLコレステロール:いわゆる「善玉コレステロール」のことです。血中の余分なコレステロールを肝臓に戻す運搬役であり、動脈硬化を防ぐ働きがあります。HDLコレステロールが少ないと、動脈壁へのコレステロール沈着が増えることになり、動脈硬化を促進、その結果、脳梗塞、虚血性心疾患、腎不全、肝硬変、糖尿病などに進行します。
LDLコレステロール:肝臓などから血管を通ってコレステロールを全身の細胞に運ぶ重要な役割がある反面、増えすぎると血管の壁に沈着してこぶを作り動脈硬化を起こす危険があるため、「悪玉コレステロール」とも呼ばれます。10㎎/㎗増加すると、心筋梗塞の発生が10~15%増加するといわれます。
北海道の短い夏も本番を迎える頃となりました。いかがお過ごしでしょうか?新型コロナウイルス感染症に気をつけながら、身体機能も維持するよう工夫しておられることと思います。札樽病院では、毎年、「銭函リハビリテーション学校」を無料で開校し、地域の方のための健康に役立つ講座や体操を提供してまいりました。
今年度は、感染症拡散防止のため開催時期が未定となっています。それで、ご自宅でも行えるよう銭リハ学校で実施していた「浜っ子体操」を体幹・肩・足腰に分けて公開いたします。今回は、体幹編です。痛みの出ない範囲で実践してみてください!
北海道の初夏を迎える頃となりました。皆さま元気でお過ごしでしょうか。今年度は皆さんと集まって銭函リハビリテーション学校を開校することができないので、当ホームページで、各専門職からの健康に役立つコラムや自宅でできる体操動画を掲載していきますね!ぜひ、ご覧ください!
TOPページにバナーがありますので、チェックしてくださいね!
今週の健康コラムは、薬剤師から「感染予防に役立つ正しい手洗い」方法を教えていただきました!夏季は食中毒も起こりやすくなります。ウイルスや細菌の感染を防ぐため、手洗いを欠かさないようにいたしましょう。ぜひお役立てください!
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1月25日、子育てCafeはぐを開催いたしました。未就学のお子さんのお悩み相談を行いました。ご参加頂いた方々から日々の子育てにおけるお悩みに、あるある〜とみんなで共感しつつ、専門職(PT、OT、ST、心理士、保育士)から解決方法の提案をさせていただきました。参加者からは、『悩みを共有できて良かった』『早速アドバイス通りにやってみようと思う』などの声が聞かれました!
次回は2月22日、就学後のお子さんのお悩み相談会を行います。「ゲームとの上手な付き合い方は?」「思春期にどう対応したらいいの?」などお子さんに対するお悩みを、各療法士と保育士、心理士が専門的視点でご相談をお受けします。ご参加お待ちしています!


1月11日(土)、第9回銭函リハビリテーション学校が行われ、41名の方にご参加いただきました!
今回は当院 放射線技師 高橋和也より「MRIについて」の講義と、理学療法士 松井彩夏より「骨折の予防に必要なこと」をテーマに、グループディスカッションと体操を行いました。
当院は昨年度からMRIを導入致しました。MRI検査はレントゲンやCT検査と比べて検査時間が長い、音が大きいなど、悪い印象がある方もいるかもしれませんが、実は優れた点がたくさんあります。今回はそんなMRI検査への理解を深めていただくために日頃の疑問についての回答やMRI特有の利点等をご紹介させていただきました。また、MRI検査を受ける前に、まずは骨折などのけがを予防しようというテーマで、住民の皆さんとグループディスカッションをする時間も設け、皆さんが日ごろ「転倒を予防するうえで気を付けていること」を共有致しました。転倒しないように日ごろから運動し身体を鍛えることはもちろん大切ですが、北海道の冬を乗り越えるためには様々な工夫が必要なんだと改めて実感した内容になったと感じています。
来月は、2月8日(土)修了式と体力測定を予定しています!今年度、最後の銭函リハビリテーション学校となりますので、皆様ぜひ奮ってご参加ください!

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「高次脳機能」とは、人間ならではの高度な脳の働きで、いろいろなことに注意を払ったり、記憶、思考、判断などを行ったりする機能を言いますが、これらの機能を失ってしまうのが「高次脳機能障害」です。
A. 原因
「高次脳機能障害」の原因としていろいろな脳の病気がありますが、最も多いのが脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)、外傷性脳損傷です。次いで、低酸素脳症、脳炎、脳腫瘍などがあります。
B. 症状
脳の働きは、部位ごとに異なるため、「高次脳機能障害」の症状は損傷を受けた部位によって様々です。
多い症状としては、
1) 記憶障害(覚えられない)
2) 注意障害(ボーっとしている)
3) 遂行機能障害(効率的に物事ができない)
4) 社会的行動障害(怒りっぽい、自分勝手などで周囲と協調できない) です。
脳の損傷部位によっては、失語症や左半側空間無視(左側を食べ残す、左側の物にぶつかるなど)が加わることもあります。
「高次脳機能障害」は、一見悪いところがなさそうに見えるため病気と気づかれないことがしばしばで、若年性認知症、異常人格者、怠け者などとみなされて治療の機会を失ってしまうこともよくあります。
C. 治療
治療は症状に合わせたリハビリテーションが中心ですが、その内容は障害された脳の機能と、その人の生活の目標によって異なります。
まずは、日常生活に必要なトイレ・食事・身づくろい・入浴の自立を目指しますが、より複雑な脳の働きが必要な料理・洗濯・買い物などの訓練を行うこともあります。
リハビリテーションと並行して、薬により症状の改善を図ることもあります。
D. 公的扶助
原因が脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など)、外傷性脳損傷、低酸素脳症、脳炎、脳腫瘍などが原因の場合には「高次脳機能障害」と認定され、精神障害手帳申請の対象になって、生活や治療に公的扶助を受けることができます。
一方、原因が脳性麻痺、発達障害、うつ病、統合失調症、アルツハイマー病などであらわれた高次脳機能障害は認定の対象にはなっていません。
次回、第19回は「睡眠」です。
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脳血管障害などの神経の病気でしばしば体の動きが悪くなります。
これを運動麻痺といいます。
この麻痺が出た後は、数か月後にはその麻痺の部分の筋肉が病的に持続的に収縮し続けるようになります。
体の外から触るとその部分の筋肉が固くなっているのが分かります。
この現象を「痙縮」と呼びます。
痙縮が現れると、四肢・体幹では、もともと麻痺のために自力で動かしづらい部位が、外力でも動かしづらくなります。
そうなると健常な体の部分の動きの邪魔になり、歩行などの運動が行いにくくなり、また介護の面でも移動動作や体の清潔を保つことなどの支障となります。
1. 「ボトックス(ボツリヌ菌毒素)」で筋肉の異常なこわばりをとる
そこで、病的に収縮している筋肉を緩めるために使われるのがボツリヌス菌毒素です。
ボツリヌス菌毒素は、筋肉を麻痺させる(筋肉が動きにくくなる)強力な成分です。
食品内でボツリヌス菌が増殖すると、これを食べた人の体内にその菌が作る毒素が入り、全身の筋肉を麻痺させます。
手足の筋肉だけでなく、呼吸筋も同様に麻痺させますので死につながります。
ボツリヌス菌は飯寿司などによる食中毒で死亡事故を出す原因の重要な一つです。
それほど強い成分であるボツリヌス菌毒が精製されて、筋肉の「痙縮」を除くための医薬として使われ、「ボトックス」の商品名で注射液として発売されています。
2. 「ボトックス(ボツリヌ菌毒素)」治療の実際
「ボトックス(ボツリヌ菌毒素)」注射は、「痙縮」のために固まってしまった筋肉をほぐすので、リハビリの際に体をスムーズに動かすことができて訓練効果を高めます。
体が固くなったために清潔を保つのが難しくなった場合にも固まった部分を緩めるのに有用です。
そのほか、現在、保険診療では、眼や顔の痙攣、手足の麻痺、声の痙攣、更に、多汗症の一部などの治療のために使われます。
保険適応外では顔の筋肉の異常な収縮を除くため、しわ取りとして美容整形分野で使われています。
3. 「ボトックス(ボツリヌ菌毒素)」治療への誤解
前記のように、リハビリの面では、ボトックスを併用することによって効果が上がることがありますが、それは、ボトックスによって痙縮が軽減してリハビリ効果が上がったため麻痺が軽くなったり、歩行が改善したりすることを示します。
これはあくまでリハビリ効果があったもので、ボトックスが筋肉の力をつける訳でも、麻痺を改善させるわけでもありません。
ボトックスはあくまでも、筋肉を軽く麻痺させることによって固まった筋肉をほぐしてリハビリをしやすくするということなのです。
言ってみれば、ボトックスの役割は、「諸刃の剣」、ないし「毒を以て毒を制す」に相当します。
以上、ボトックスは危険な面ももっていますが、正しく使うととても有用です。神経やリハビリの専門医とよく相談しながら利用するとよいでしょう。
次回、第18回は「高次脳機能障害」です。
2019年11月16日~17日、福岡県で開催された第6回 日本小児理学療法学会学術大会で理学療法士の高橋幸助がポスター発表をいたしました。テーマは「成人の脳性麻痺に対する運動イメージの特徴について」で、近年、脳科学の分野で注目されている運動イメージについて、脳性麻痺を対象とした研究を報告いたしました。
「多くのセラピストと質疑応答を交え、これからの課題や理学療法士としての在り方について考えさせられた2日間でした。今後も研鑽を積み、理学療法士として患者様やご家族の支えになれるよう励んでいきたいと思います。」

11月9日(土)、第7回銭函リハビリテーション学校を開催いたしました。第1部は、介護保険についての講演でした。今は介護の必要がなくても・・・、突然病気になったり、自分が介護をする立場になるかもしれません。そんな時のために、介護保険の利用の仕方、サービスの種類についてお話しさせていただきました。
第2部は、認知症の方の介護についての勉強でした。認知症の方に関わる際は、相手のそばに寄りしっかりと目を見て話す、手を握る、身体をさする等で不安を軽減させることができます。3人1組になって認知症の妻、夫、娘の役になりきって実践していただきました!


来月は、12月13日(土)の予定です。10月に当院に着任した脳神経外科・村井宏 先生の講演です。乞うご期待!