体の組織(末梢)で生じた刺激が、末梢神経→脊髄→脳幹→視床→大脳皮質の感覚野へと上行性に伝わり、大脳皮質感覚野で痛みとして認知されるということは第14回で取り上げました。
その際、脊髄→脳幹へと上行性(体の下から脳へ伝わること)に痛みが伝わる経路があることを説明し、この経路と逆向きに大脳から脳幹を通って脊髄方向へと下行性に働いて痛みの伝達を抑制する、「下行性疼痛抑制系」と呼ばれる経路があることをご説明していました。
この「下行性疼痛抑制系」が良く働くと痛みを感じにくくなり、逆にこの系の働きが弱いと痛みに極度に過敏となります。
ですから、通常は痛みと感じないような軽微な感覚も強い痛みとして感じるという病的状態が出現するのです。
実は、ストレスはこの「下行性抑制系」の働きを弱めることになるため痛みをより強く感じさせ、逆にストレスの少ない状態では「下行性抑制系」がしっかり働いて、痛みの感じ方が軽減されるものなのです。
ですから昔からよくある「痛いの、痛いの飛んで行け」と唱えることも、痛みから気をそらせてストレスを軽減させることにより「下行性抑制系」の働きを強めることとなって、結局痛みの軽減につながります。
先人たちは経験的に神経この働きの特性を知り、利用していたことになります。
次回、第25回は 脳神経と脊髄神経 です。
前回、第
23回「
痛いの、痛いの飛んでいけ」と予告しておりましたが、現在
新型コロナウイルス感染症がまん延していることから急遽タイトルを変更して掲載させていただきます。
新型コロナウイルス感染症は、1年半ほど前に登場し、世界中で想像すらしなかった拡大をしており、国内でも
緊急事態宣言や
まん延防止等重点措置が何度も出され、その期間が延長されるなど病気のしぶとさを誰もが感じているところです。
さらに
感染性と重症度を高めた変異株が次々と表れており、ワクチン接種が始まってもなお収束のめどすら立たない状況が続いています。
新型コロナウイルスが最もターゲットとするのは
呼吸器で、
重症化の原因として肺炎が最も重要ですが、それ以外にも全身に多くの症状を呈します。
神経症状(脳神経症状とも言います)も私たちの
QOL(生活の質)を低下させる要因となり、時には重大な結果を残すため注目されます。
神経症状としては、
①中枢神経症状、
②末梢神経症状、
③筋肉症状と、
血液凝固の異常をもたらして出現する
④脳血管障害が注目されています。
①中枢神経症状:めまい、頭痛、意識障害、嗅覚異常など
②末梢神経症状:筋力低下、感覚異常など
③筋肉症状:筋痛、筋力低下など
④脳血管障害(脊髄血管障害も含む):脳梗塞、脳出血など
脳血管障害は緊急措置が必要なことが多いですが、それ以外の①から③は軽症のうちは「
自律神経失調症」と区別のつきにくい見かけをとることがあります。
特に、自粛生活でストレスの強まっている昨今では「
ストレスのせい」と簡単に片付けてしまわれがちですが、これらの症状に
37.5℃以上の発熱、
息苦しさなどを伴う場合には、まずは
電話などで、かかりつけ医や身近な医療機関などへ
問い合わせてみるのがよいでしょう。
次回、第24回は 「痛いの、痛いの飛んで行け」です。
【お詫び】第10回 「脳の左・右は体の反対側を支配」の記載中に誤記がありました。
本文中で、大脳の障害で反対側半身の麻痺が出ると説明しましたが内容に混乱がありました
。
正しくは、「左片麻痺」は右脳の障害、「右片麻痺」は左脳の障害で起きることになります。
お詫びして、訂正させていただきます。
※HPリニューアルにつき、過去に投稿した記事を再投稿しております。
「リハビリテーション」(略して「リハビリ」)というと、訓練をして身体機能を回復させると考えることと考えられがちですが、それはリハビリの一面にすぎず、どうしても回復させられない機能があっても、可能な限り生きやすくすることを目的とするのです。
従って、リハビリの目指すところは、
①可能な限りの機能回復、
②機能低下のある状態でも本人の活動が向上し生活がしやすくなること
(介護が必要な場合には介護者による介護がしやすくなり本人の活動が上がること)、
更には
③本人の社会参加の程度が向上し、それも含め本人や介護者の幸福度が向上することとされます。
簡単に言うと、できるだけ元通りに戻そうとするが、できない場合でも本人とその周囲の人たちの満足度を追求するのがリハビリテーションであると言えます。
従って、すべての病気、怪我がリハビリテーションの対象となります。
リハビリの対象として、四肢の麻痺や歩行の障害などの運動機能の障害が、一般に思い浮かべられやすいですが、それだけでなく認知機能、高次脳機能、視覚、聴覚、嚥下、排泄など人の持つ機能の全てがリハビリテーションの対象となります。
このように、リハビリの対象が広範なためその分類の仕方もいろいろあります。
リハビリを受ける対象の種類から脳血管障害のリハビリ、認知症のリハビリ、神経疾患のリハビリ、筋疾患のリハビリ、排尿障害のリハビリ、発達障害のリハビリなどと分けることがあり、また、対象者の年齢から成人のリハビリ、高齢者のリハビリ、小児のリハビリなどと分けることもあり、対象となる身体の部位や機能から手のリハビリ、嚥下リハビリ、歩行リハビリ、高次脳機能のリハビリなどと分類することもあります。
次回、第23回は「「痛いの、痛いの飛んで行け」」です。
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神経組織は、形態からみた、中枢神経と末梢神経の区別、中枢神経での白質と灰白質の区別、機能からみた精神機能系、言語機能系、運動系、感覚系、協調運動系、自律神経系など、様々な角度、様々な面での分類があります。
それらの分類の中の一部だけが、他の部と比して桁違いに機能を低下させたり形態的変化を受けたりする、いわば病的と言える状態があります。
この状態の原因が、血管障害、感染症、代謝性疾患、腫瘍、中毒、外傷、脱髄などが否定されて同定不能で、言わば原因不明で起きる神経組織の疾患を「神経変性疾患」と呼んでいます。
ここで、話を変えて、「老化」という現象を取り上げてみたいと思います。
生き物は、年齢とともに、組織の変化が進み、機能が落ちてきます。
それが「老化」で、逆戻りさせることも止めることもできません。
そしてその原因はいまだわかっていません。
その状況は、「神経変性疾患」とよく似ています。
言ってみれば、「神経変性疾患」とは、神経の特定の部位に、急速に進む老化現象が起こったものと例えることができます。
別な例えでは、「老化」は普通列車で進むのに、「神経変性疾患」は新幹線で進むといえばわかりやすいかもしれません。
次に、「神経変性疾患」はそれだけでも一冊の教科書が書けるくらい広い範囲のものですが、ここでは、神経の中で侵される部位毎に、どういう病気があるか一つの例をお示しします。
- 大脳皮質 アルツハイマー病
- 大脳基底核 パーキンソン病
- 小脳 脊髄小脳変性症
- 脊髄 筋萎縮性側索硬化症
- 末梢神経 シャルコマリーツース病
次回、第22回は「リハビリテーションの目指すもの」です。
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私たちの体の中のいろいろな部分が働く時には、他部位と共同したり、競合したり、または反対方向に働くなど互いに影響しあう現象が起こっています。
ミクロの世界で、この情報を伝えるのが神経細胞です。
情報は、a)神経細胞から隣の神経細胞へ、
またはb)神経細胞から近接する筋肉へ伝わりますが、
その際には、
a)最初の神経細胞から次の神経細胞へ、
またはb)神経細胞から筋肉へある成分が受け渡しされます。
その、「ある成分」を神経伝達物質と言います。
この、神経伝達物質を受け取る側の神経細胞や筋肉には「受容体」という、それぞれの神経伝達物質に特異的な受け取り装置があります。
神経伝達物質が隣にある神経細胞の受容体に結合することにより信号が伝わり、その連絡が次々に行われることにより情報が拡がります。
また神経伝達物質が筋肉の受容体に結合するとその筋肉の収縮が起こります。
神経細胞は脳だけでなく、脊髄、末梢神経、更に、全身に分布する自律神経からも分泌されます。
3大神経伝達物質として有名なのが、ドーパミン、セロトニン、ノアルアドレナリンで、これらは脳内で精神現象のコントロールをするのが知られています。
特に、以下の3大神経電鉄物質の働きは有名です。
- ドーパミン:快楽、達成感をもたらす
- セロトニン:幸せ感をもたらす
- ノルアドレナリン:やる気を作り出し、やる気が極まると怒りにもつながる
セロトニン、ドーパミンは量的には腸で作られる割合が多いのですが、脳外で作られたものは脳には入らず、脳内で働くのは脳内で作られたものだけです。
ノルアドレナリンは主に中枢神経系で作られており、
3本の指には入りませんが有名な神経伝達物質アドレナリンは腎臓の上にある副腎髄質で主に作られています。
神経伝達物質は、この3つだけでなく、アセチルコリン、ヒスタミンなど各種ありますが、病気との関係では、
- ドーパミンの不足はパーキンソン病、過剰は統合失調症
- セロトニンやノルアドレナリンの不足はうつ病
- アセチルコリンの不足は認知症と、伝達障害が重症筋無力症と関係していることが知られています。
次回、第21回は「神経変性疾患」です。
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睡眠は、ヒトの生活の数分の1以上を占める重要な現象でこれがないと生命を維持することすらできなくなってしまいます。
それだけに、古くから睡眠に関する多くの研究がなされ、一般的知識として認められているものもの膨大になっています。
従って、睡眠に関する知識は、「ミニ知識」としてご紹介するにはふさわしくないこととなります。
そんな背景のもと、ここでは、睡眠の一面について、1回の読み切りでご紹介します。
まず、ヒトは休まず活動し続けることはできず、間に休息をとることが必要ですが、睡眠は人にとって最大の休息となります。
睡眠中には、体内の多くの臓器・器官の働きが低下しますが、全てが休息をとっているわけではなく、脳ではむしろ、活発に活動している部位があります。
特に、覚醒寸前の浅い眠りの一時期であるレム睡眠期には、例えば扁桃体、海馬傍回では活発な活動がみられます。
眠っている間には、その深さの程度は変動します。
一般に、深さから第1段階から第4段階までの4段階と、特殊な段階のレム睡眠との5段階で区別しますが、各段階の区別は脳波所見によって行われます。
図に睡眠の深い・浅いの繰り返しの様子を示します。
覚醒がピンク、睡眠をブルーで示します。
一晩の睡眠でこの、深い-浅いが何回か繰り返されます。
1回あたりの所要時間は約90分ですが、第1回目のみは2時間とされます。
従って、一晩のうちにこのリズムを例えば2回繰り返すと、総睡眠時間は3.5時間、3回繰り返すと5時間というふうになります。
覚醒に近い深さで目覚めるとスッキリ起きられます。
この繰り返すリズムのうち、深い睡眠で脳の疲労が取れ、ホルモンなど体の機能維持のための成分が放出されますが、特に最初の2回のリズムの深睡眠でその放出が強力であるとされます。
数時間の睡眠もこの1.5時間毎の固まりの集合ですので、途中覚醒が1.5時間毎であれば覚醒なしに続けて何時間か眠ることとほぼ同じ睡眠効果と考えてよいとされます。
次回、第20回は「神経伝達物質」です。
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「高次脳機能」とは、人間ならではの高度な脳の働きで、いろいろなことに注意を払ったり、記憶、思考、判断などを行ったりする機能を言いますが、これらの機能を失ってしまうのが「高次脳機能障害」です。
A. 原因
「高次脳機能障害」の原因としていろいろな脳の病気がありますが、最も多いのが脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)、外傷性脳損傷です。次いで、低酸素脳症、脳炎、脳腫瘍などがあります。
B. 症状
脳の働きは、部位ごとに異なるため、「高次脳機能障害」の症状は損傷を受けた部位によって様々です。
多い症状としては、
1) 記憶障害(覚えられない)
2) 注意障害(ボーっとしている)
3) 遂行機能障害(効率的に物事ができない)
4) 社会的行動障害(怒りっぽい、自分勝手などで周囲と協調できない) です。
脳の損傷部位によっては、失語症や左半側空間無視(左側を食べ残す、左側の物にぶつかるなど)が加わることもあります。
「高次脳機能障害」は、一見悪いところがなさそうに見えるため病気と気づかれないことがしばしばで、若年性認知症、異常人格者、怠け者などとみなされて治療の機会を失ってしまうこともよくあります。
C. 治療
治療は症状に合わせたリハビリテーションが中心ですが、その内容は障害された脳の機能と、その人の生活の目標によって異なります。
まずは、日常生活に必要なトイレ・食事・身づくろい・入浴の自立を目指しますが、より複雑な脳の働きが必要な料理・洗濯・買い物などの訓練を行うこともあります。
リハビリテーションと並行して、薬により症状の改善を図ることもあります。
D. 公的扶助
原因が脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など)、外傷性脳損傷、低酸素脳症、脳炎、脳腫瘍などが原因の場合には「高次脳機能障害」と認定され、精神障害手帳申請の対象になって、生活や治療に公的扶助を受けることができます。
一方、原因が脳性麻痺、発達障害、うつ病、統合失調症、アルツハイマー病などであらわれた高次脳機能障害は認定の対象にはなっていません。
次回、第19回は「睡眠」です。
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脳血管障害などの神経の病気でしばしば体の動きが悪くなります。
これを運動麻痺といいます。
この麻痺が出た後は、数か月後にはその麻痺の部分の筋肉が病的に持続的に収縮し続けるようになります。
体の外から触るとその部分の筋肉が固くなっているのが分かります。
この現象を「痙縮」と呼びます。
痙縮が現れると、四肢・体幹では、もともと麻痺のために自力で動かしづらい部位が、外力でも動かしづらくなります。
そうなると健常な体の部分の動きの邪魔になり、歩行などの運動が行いにくくなり、また介護の面でも移動動作や体の清潔を保つことなどの支障となります。
1. 「ボトックス(ボツリヌ菌毒素)」で筋肉の異常なこわばりをとる
そこで、病的に収縮している筋肉を緩めるために使われるのがボツリヌス菌毒素です。
ボツリヌス菌毒素は、筋肉を麻痺させる(筋肉が動きにくくなる)強力な成分です。
食品内でボツリヌス菌が増殖すると、これを食べた人の体内にその菌が作る毒素が入り、全身の筋肉を麻痺させます。
手足の筋肉だけでなく、呼吸筋も同様に麻痺させますので死につながります。
ボツリヌス菌は飯寿司などによる食中毒で死亡事故を出す原因の重要な一つです。
それほど強い成分であるボツリヌス菌毒が精製されて、筋肉の「痙縮」を除くための医薬として使われ、「ボトックス」の商品名で注射液として発売されています。
2. 「ボトックス(ボツリヌ菌毒素)」治療の実際
「ボトックス(ボツリヌ菌毒素)」注射は、「痙縮」のために固まってしまった筋肉をほぐすので、リハビリの際に体をスムーズに動かすことができて訓練効果を高めます。
体が固くなったために清潔を保つのが難しくなった場合にも固まった部分を緩めるのに有用です。
そのほか、現在、保険診療では、眼や顔の痙攣、手足の麻痺、声の痙攣、更に、多汗症の一部などの治療のために使われます。
保険適応外では顔の筋肉の異常な収縮を除くため、しわ取りとして美容整形分野で使われています。
3. 「ボトックス(ボツリヌ菌毒素)」治療への誤解
前記のように、リハビリの面では、ボトックスを併用することによって効果が上がることがありますが、それは、ボトックスによって痙縮が軽減してリハビリ効果が上がったため麻痺が軽くなったり、歩行が改善したりすることを示します。
これはあくまでリハビリ効果があったもので、ボトックスが筋肉の力をつける訳でも、麻痺を改善させるわけでもありません。
ボトックスはあくまでも、筋肉を軽く麻痺させることによって固まった筋肉をほぐしてリハビリをしやすくするということなのです。
言ってみれば、ボトックスの役割は、「諸刃の剣」、ないし「毒を以て毒を制す」に相当します。
以上、ボトックスは危険な面ももっていますが、正しく使うととても有用です。神経やリハビリの専門医とよく相談しながら利用するとよいでしょう。
次回、第18回は「高次脳機能障害」です。
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歩行は、人間が進化の過程で獲得してきた重要な機能の一つで、私たちの行動を格段に拡大しています。
歩行ができないと行動範囲が極端に狭くなり、また歩行が可能でも異常な歩き方では生活が不自由となるだけでなく、関節・骨・筋肉に過剰な負担をかけて年月の後には運動器の障害を招きます。
従って、歩行は人間の生活の質(QOL; Quality Of Life)を決める重要な要因の一つと言えます。
今回は、歩行の異常とその特徴についてご説明します。
歩行の異常の中には特徴的で、有名な名前のついているものもあれば、特徴の捉えがたい不安定なものもあります。
代表的なものとしては以下があります。
1) 引きずり歩行:下肢に麻痺がある際や、痛み、変形があるときに起こり、その側の足を引きずって歩きます。
2) 痙性歩行:脳や脊髄の障害で麻痺が出る場合にはその側の足を突っ張らせながらの引きずり歩行となります。
両足に起これば両足を鋏(ハサミ)のように組み合わせて歩くので「鋏(ハサミ)歩行」とも言います。
3) 失調歩行:小脳、前庭、脊髄、末梢神経などの神経系に異常があるときに出現し、下肢の筋力低下がなくても起こります。
ふらふらと不安定にバランス悪く歩きます。
4) 鶏歩(けいほ):足首を上に屈曲する働きの低下のためつま先が上がりにくくなり、歩く際に毎回振り上げた足が地面から上に上がらず、上がってもつま先がすぐ床に落ちてしまう歩き方。
ニワトリの歩き方に似るためこの名前がつきました。
5) よちよち歩行:腰の周りを安定させる筋肉が弱いために一歩ごとに骨盤が交互に左右に傾き、腰と上半身を振って歩く。
6) パーキンソン歩行:前かがみの姿勢で膝を曲げ、足を床から上げず、小刻みに歩く。手の振りも少ない。
7) 奇怪歩行:全身や下肢に不随意運動があるとき、不随意運動のために歩くとき一見奇怪に見えます。
8) ヒステリー性歩行:心因性で起こる歩行異常。
様々な形をとり、全く歩けないこともあります。
9) 間欠跛行(かんけつはこう):最初は歩けるが、症例ごとに違う一定の時間や、一定の距離を歩くと、下肢の疼痛や脱力のために歩けなくなる。
脊髄性のものと、下肢の血管の狭窄で起こるものの2種類があるが、どちらも治療の方法があることも多い。
次回、第17回は「ボトックス治療」です。
※HPリニューアルにつき、過去に投稿した記事を再投稿しております。
頭痛の
A)原因
B)起こる頭の部位による特徴についてご説明します。
A 頭痛は、原因として次の6つが単独に、ないしは複合して生じます。
1.頭蓋内の血管(血管性頭痛と呼び片頭痛が代表)
2.精神・頭頸部筋の緊張(緊張型頭痛と呼ぶ)
3.頭蓋内の疾患(牽引性頭痛、炎症性頭痛など)
4.神経痛(頭皮の感覚を伝える頭蓋外の末梢神経)
5.耳・鼻・歯の病気(関連痛と呼び、頭痛として現れます)
6.心因(不安、精神的緊張、抑うつなど)
B 起こる部位による頭痛の特徴
1. 頭部側面の頭痛 生命の危険はないが強い苦しみをもたらします。
片頭痛:頭の一方または両方が拍動性にズキンズキンと痛む。
しばしば嘔気、嘔吐を伴います。
群発頭痛:片目の奥から側頭にかけてのえぐられるような激痛。
数日から数週ほぼ毎日同じ時間帯に起こります。
2. 後頭部の頭痛
多くは緊張型頭痛(頭頸部の筋のコリによるもの)なので余り心配はいりません。
突然ガーンと殴られたような痛みの場合にはくも膜下出血の可能性があり、救急処置が必要となることがあります。
3. 頭全体が痛い場合:様々なタイプの頭痛の可能性があります。
頭全体の場所が殴られたような痛みの場合には、くも膜下出血の可能性を疑う必要あります。
重い荷物を持つなど強い労作をした場合に頭全体の場所が痛くなるものは労作性頭痛と呼び、あまり心配ないものが多いです。
緊張型頭痛がひどくなると、後頭部から始まって頭全体に拡がることもあります。
次回、第16回は「歩行の異常」です。