2022.03.03 UP
第24回「痛いの、痛いの飛んで行け」
体の組織(末梢)で生じた刺激が、末梢神経→脊髄→脳幹→視床→大脳皮質の感覚野へと上行性に伝わり、大脳皮質感覚野で痛みとして認知されるということは第14回で取り上げました。
その際、脊髄→脳幹へと上行性(体の下から脳へ伝わること)に痛みが伝わる経路があることを説明し、この経路と逆向きに大脳から脳幹を通って脊髄方向へと下行性に働いて痛みの伝達を抑制する、「下行性疼痛抑制系」と呼ばれる経路があることをご説明していました。
この「下行性疼痛抑制系」が良く働くと痛みを感じにくくなり、逆にこの系の働きが弱いと痛みに極度に過敏となります。
ですから、通常は痛みと感じないような軽微な感覚も強い痛みとして感じるという病的状態が出現するのです。
実は、ストレスはこの「下行性抑制系」の働きを弱めることになるため痛みをより強く感じさせ、逆にストレスの少ない状態では「下行性抑制系」がしっかり働いて、痛みの感じ方が軽減されるものなのです。
ですから昔からよくある「痛いの、痛いの飛んで行け」と唱えることも、痛みから気をそらせてストレスを軽減させることにより「下行性抑制系」の働きを強めることとなって、結局痛みの軽減につながります。
先人たちは経験的に神経この働きの特性を知り、利用していたことになります。
次回、第25回は 脳神経と脊髄神経 です。